ジキル&ハイド X47.5 & X50.0
弾丸のようなスピードで襲いかかる剛球


相手コートを抜き去る快感を手に入れろ
2022年末、ついにシリーズの全貌が姿を現したジキル&ハイド。最も遅れて登場したXはズバリ、スピードを最大の武器とするラバーだ。目にも留まらぬ超速球で相手コートを抜き去る快感が、他のラバーでは味わえない独自の魅力となっている。
ここしばらくの卓球界では、スピン性能の高いラバーばかりを礼賛する傾向が顕著で、スピード性能に関してはやや置き去りにされていた感がある。そこへ殴り込みをかけたのが、このジキル&ハイドXの2アイテムというわけだ。
おそらくこのラバーでボールを打ったユーザーの多くがそのファーストタッチで、「うわ、めっちゃ飛ぶ!」という感想を持つはずだ。それは、卓球界に初めてテンションラバーが出現した時の感動に近いのではないかと思われる。
ドライブに回転をかけて、ミスなく安全にボールを入れる。確かにそれも卓球だ。だが、あなたはそれで満足だろうか。本当は、剛球を放ってノータッチで相手コートを抜き去り、高々と拳を突き上げる瞬間を求めているのではないか。
ジキル&ハイドXは、そのようなアタッカーとしての本能に訴えかけるスピードモデル。一撃のパワードライブや爆速スマッシュで雄々しくポイントを奪いたい剛腕タイプはもちろん、決定力不足に悩むプレーヤーにもおすすめだ。
クレイジーなフラットヒットで勝負できる
ジキル&ハイドXのトップシートは、垂直方向へのリアクションスピードの速さが何よりの特徴だ。大きめの粒が広い感覚で配置されているため、インパクト時に水平方向へのエネルギーロスが起きにくく、ピュアな反発力が生まれる。
加えて、テンションエネルギーに満ちた高密度スポンジがその弾力を後押しすることにより、爆発的なスピードボールが発射されるのだ。フラットヒット時の手応えと剛速球は、一度体感するとやみつきになること請け合いである。
この特性が最も効力を発揮するのは、やはりスマッシュだ。現代卓球は弧線弾道によるドライブの応酬が主だが、その戦線に直線弾道の電撃スマッシュで切り込めば、異質さと決定力の高さで対戦相手を恐怖に陥れることができる。
ジキル&ハイドXのシートは屈強で、相手ボールの高回転を苦にしない。強烈なスピンボールが飛び交う今日の卓球においても、自信を持ってそれをぶったたいていける。目撃者はこう言うだろう。「なんてクレイジーなヤツだ!」
弾丸カウンターブロックと高速戦の強さ
スマッシュに並ぶ得意技術が、ブロックである。ジキル&ハイドXによるブロックは、もはや守備ではなく攻撃技術と言っていい。相手が自信満々に打ち込んできたボールにラケットを合わせるだけで、それが自らの得点になる。
すなわち、トップシートの安定性と反発力が相手の攻撃球を正確に、かつエネルギーを倍加した状態で敵陣へ跳ね返すのだ。相手ボールが強烈であればあるほど、そのしっぺ返しも絶大。まさに恐怖のカウンターブロックである。
前陣でのテンポの早い打ち合いも、ジキル&ハイドXの得意分野だ。特に、現代卓球で頻発するバック対バックの高速戦では、球離れの早さと1球1球の圧力で、ラリーが続けば続くほどにドンドン相手を押し込んでいける。
派手なフォームや馬鹿力は必要ない。ただこのラバーのポテンシャルを信じてラケットをぶつけていけば、動作に要したエネルギーを上回るパワーボールが相手コートを襲う。つまり、省エネで弾丸ショットを放つことが可能なのだ。
スピン創出性能も高い。Xの「別の顔」
ここまではフラットで打った時のメリットばかりを力説してきたが、ではジキル&ハイドXはスピンを作ることが苦手なのかと言えば、それは全く違う。トップシート表面で薄くボールを擦った時、このラバーは別の顔を見せてくれる。
構造的にはスピード重視型の設計となっているジキル&ハイドXのトップシートだが、ゴム質を硬めで強くしてあるため、水平方向に対しての引っ掛かりが抜群。サービスやツッツキ・ストップの切れ味は惚れ惚れするほどだ。
台上のチキータや、打球点が落ちた時のループドライブにも強烈な回転がかかるため、相手からはカウンターを食らいにくい。そのため、小技で先手を取ってから得意の打ち合いに持ち込む、という必勝パターンを築けるのだ。
厚めにガッツリぶつければ弾丸スピードボール。薄めにチョリッと擦れば激烈スピンボール。まさしくジキル&ハイドの名にふさわしい二面性的パフォーマンスは、あなたの戦闘力と勝率を飛躍的にアップさせてくれるだろう。
ラバー断面拡大写真
ややマイルドな47.5か、凶暴な50.0か
ジキル&ハイドXには、47.5と50.0という2種類の硬度バリエーションが用意されている。数字として見ればわずか2.5度の違いに過ぎないが、打ち比べると、想像以上にその特色をそれぞれ感じられるのが面白いところだ。
47.5は、ジキル&ハイドXの高反発性が持つリスクを幾分マイルドにしてあり、深く食い込む感触が好きなプレーヤーに向く。特にライジングでのボールタッチで安定感が出せるため、バックハンドでの使用におすすめだ。
50.0は、より研ぎ澄まされた感性を持つプレーヤーにおすすめしたい。ミスを恐れず、瞬間的なひらめきと思い切りでラケットを振り抜き、敵陣を一気に切り裂くスピードショットを放つ――そんな勝負師に向くラバーだ。
いずれにせよ、守りよりも攻め、安定よりも得点力を求めるプレーヤー向きであることに変わりはない。その中で、リスクをどの程度許容するか、相手へのプレッシャーをどの程度かけたいか――そこが選択のカギとなる。

合わせるブレードによっても性格が変化
ジキル&ハイドXがスピード性能にすぐれるラバーなのは前述の通りだが、どういったブレードに合わせるかでその総合的な性格が変わってくることも考慮に入れたい。代表的なケースを以下に紹介するので参考にしてみよう。
まず、アウター素材のブレードと合わせた場合は、超ハイリスクの前陣速攻型。先手を取った場合は一撃で仕留め、先手を取られた場合も一閃の電撃カウンターで勝負に出る。そんなスリル満点のプレーを存分に楽しもう。
次に、インナー素材のブレードと合わせた場合は、連続パワー攻撃型。しなりと球持ちの良さを生かし、やや下がった位置からドライブとスマッシュをガンガン打ち込むイメージで攻めよう。打撃戦での強さはピカイチだ。
そして、純木材ブレードと合わせた場合は、ハイバランス型。ラバーの飛び出しの強さをブレードの包容力が中和し、攻守にオールラウンドな性能となる。しかし、いざという時には一発の破壊力も出せる、頼れる相棒だ。
スピン時代の異端派。Xで勝者となれ
近年の卓球は、誰もが同じ方向性で進んでいるようで面白みに欠ける。ラバーもどれもが似たり寄ったりで、「ああまた例のスピンテンションの改良版ですか」みたいなことになってきている。だが、コイツはちょっと違う。
明らかにスピード重視。ドン!という衝撃とともに発射される弾丸のように一直線なボールは、近頃の軟弱なヤツらとは一線を画している。でありながら、スピンを作りたい時には自在に作れるという器用さも持ち合わせる。
弱点があるとすれば、それは「飛びすぎる」ことかもしれない。ただ、それは初中級者にとってはリスクかもしれないが、ある程度の手練れになれば気にならなくなるもの。むしろ、トップ層には歓迎される要素だろう。
ハイレベルな戦いにおいて勝利をつかむには、人と似たようなプレーをしていてはダメだ。スピン時代にスピードを。弧線時代に直線を。ライバルとは違うベクトルの卓球を志向した時、あなたの手には栄光がもたらされる。
ジキル&ハイドXは、あなたを未来の勝者にするラバーなのだ。