オメガVシリーズが市場に投入されたのは、2013年秋。当初は「プロ」と「ツアー」2アイテムのリリースだった。両ラバーは発売当初より世界中のトップ〜中級の選手たちから絶賛を浴びたものの、翌2014年にXIOMはシリーズラインナップを再考。すなわち、ツアー(※現在日本市場では廃番)を仕様変更した「ツアー DF」「アジア DF」「ヨーロ DF」の3アイテムを追加した。
この転換を促したのは、ほかでもないプラスチックボール(以下プラボール)の導入だ。セルロイドボールよりも滑りが大きく、回転のかけにくいプラボールに最大のスピンを与えるにはどうすればいいか――その至上命題に対するXIOMの答えが、ダイナミック・フリクション(DF)テクノロジーだった。
シリーズ中、最も幅広いプレーヤーから支持を受けているのが、このオメガV ヨーロ DFだ。太めの粒を密集させた形のトップシートが抜群のハイスピンを生み出し、45度という中間硬度のスポンジが絶妙なバランスのボールコントロールをサポートする。比類なき安定感と回転のかけやすさは、スピンを軸としたラリー志向のオールラウンドスタイルにジャストフィット。安定したドライブ、ミスの出にくいブロック、制御しやすいサービスや台上技術・・・・・・高精度で手堅い卓球をしたいプレーヤーは、コレを使えば間違いない。
シリーズ中で唯一DFテクノロジーを搭載していないにもかかわらず、トップレベルの選手から高い支持を得ているのが、このオメガV プロだ。粒間隔がやや広く、粒自体も少し細めに設計されたトップシートは、スピード重視ながらボールの食い込みもよく、一発系のパワードライブで爽快に打ち抜くことも、回転系のループドライブで自在な弧線を描くこともできる。目の詰まった47.5度のスポンジは球離れの速さと、相手ボールのスピンに対する良い意味での鈍感さを演出。自分の卓球をやり通すタイプに最適の1枚だ。
スピンのかけやすさ、絶対的なボールの回転量がほしいという選手は、このオメガV ツアー DFをぜひ使うべきだ。太めの粒を密集させたヨーロと同タイプのトップシートと、気泡の荒い47.5度のスポンジとのドッキングにより、ボールを表面で薄くとらえた時にもディープに食い込ませた時にも、超絶スピンショットが生まれる。ボールのグリップミスがほとんどないため、サービス・ドライブ・ツッツキ・カットといった回転系テクニックのすべてが安定かつハイレベル。スピンマスター養成ラバー、それがツアー DFだ。
シリーズ中で最も尖った特徴を持つのが、このオメガV アジア DF。プロと同様のスピードを重視した設計のトップシートに50度のハードなスポンジを合わせ、一発の破壊力を前面に押し出したアイテムとなっている。スノータイヤ並みのグリップ力が得られるDFテクノロジーを搭載したことにより、回転性能もしっかり確保。基本的にはスピードボールでガンガン攻めながら、場合によってはスピンショットを駆使してミスを回避することもできる。許容できる範囲のリスクで、最大のリターンが得られる超攻撃的ギアだ。