ジキル&ハイド H52.5
比類なき安定性と破壊的決定力の同居


これまでのラバーの常識を超えた不思議感覚
ジキル&ハイド――スティーヴンソンの小説『ジキル博士とハイド氏の奇妙な事件』から拝借した刺激的なネーミングのこのラバーシリーズは、その主人公が二重人格の持ち主であることからインスピ―レーションを得たものだ。
すなわち、性能面における<二面性>が特徴となっているのだが、まず先陣を切ってリリースされたジキル&ハイドH52.5の二面性とは、ズバリ「安定性」と「決定力」の同居である。
一般に、安定性の高いラバーは決定力に欠け、高い決定力を持つラバーは安定性に欠けるものだ。そして、この双方を両立させようとすると、どっちつかずの特徴に乏しいラバーとなってしまう。だが、H52.5は違う。
吸いつくような打球感でヒットミスがほぼ出ない感動的なボールタッチ……だが、その余韻に浸る暇もなく、ひとたび発射されたドライブは、峻烈な弧線を描きながら相手コートを猛スピードで駆け抜けていく。
――おそらく、この不思議な感覚は世界の誰も経験したことがないだろう。これまでのラバーの常識を超えてしまった感のあるジキル&ハイドH52.5。その秘密と魅力に迫ってみよう。
引き合い無双を実現する極上の吸いつき
H52.5のトップシートには、かすかな粘着性処理が施されている。指で触れると軽くペタペタとくっつくその感触は、粘着性ラバーというより<吸着性ラバー>という新ジャンルに分類すべきものと言える。
この絶妙な吸いつき加減が、ボールを間違いなくつかまえる確実性の基となっている。スリップするとかしないとかいう次元ではなく、つかまえ損ないがまず発生しないから、ユーザーは自らの技術に絶対の自信を持つことが可能だ。
とりわけドライブ対ドライブの展開になった時、この吸いつき性能はプレーヤーに極上の安心感と勇気を与えてくれる。どんなに激しい打ち合いが何本続こうがまったくボールが落ちないため、「引き合い無双」な状態を満喫できるのだ。
苦しい体勢に追い込まれてもボールが上がってくれて、なおかつ相手コートに着弾してくれる。「ドライブって、こんなに簡単だったっけ?」――H52.5を使えば、思わずそんな台詞が口からこぼれてしまうだろう。
吸着のち爆速。急上昇のち急降下
H52.5のウリは、打球感の良さや安定性の高さだけにとどまらない。威力・決定力という側面から見ても、従来のハイエンドラバーを凌駕するレベルに到達している。
十分な体勢でドライブを打つと、ラバー表面にいったん吸着したかに思えたボールが次の瞬間、目にも留まらぬ爆速で発射され、急上昇から急降下するジェットコースターのような弾道で相手コートを切り裂いていく。
打球時の感覚は軽快なのに、生み出されるボールは豪快で破壊的。今まで決定力不足に悩んでいた選手でも、弧線の正確さと圧倒的なボールスピードを両立した強力なウイニングショットを放つことができる。
特に、下回転のボールに対してループドライブしかできないという悩みを持つ選手にとっては救世主と言っていい。ボールがウソのように楽に持ち上がるため、ネットミスを心配することなく、前に向かって自信満々のスイングでパワードライブを打ち込んでいけるのだ。
威力と安定性。完全無欠のトップシート
こうしたH52.5の高性能の秘密は、トップシートの構造にある。まず特徴的なのが、トップシート表層を肉厚(0.2mm超)にボリュームアップさせていることだ。
この厚みと質量が、ラバーがボールに接触した際の強力なパワーとなり、反発力と回転力を向上させている。これは、ニュートンの運動の法則(F=m×a/物体に加わる力Fは質量mと加速度aの積として求められる)を応用した設計である。
同時に、トップシート下層部は粒間隔を広くとり、粒自体を短く設計することにより、ラバーの全体重量がヘビーになることを回避。これが、「威力が出るのに打球感は軽快」というH52.5独特の性質を生み出しているのだ。
加えて、トップシート表面の粘着力は控えめにコントロール。弾みと加速力というドイツ製テンションラバーの美点を阻害することなく、ボールをキャッチする中国製粘着ラバーの利点のみをうまく抽出して付与し、完全無欠のトップシートを完成させた。
ラバー断面拡大写真
高密度&超微細気泡の特殊スポンジ
H52.5のスポンジは、肉眼で見ると気泡がほとんど見当たらないが、実はその内部には驚くほどたくさんの超微細な気泡を含んでいる。これが、トップシートの革新的な構造と相まって独創的で快適な打球感を生み出しているのだ。
52.5という高めの硬度表示に尻込みしてしまいそうなプレーヤーでも、打てばその弾力性に驚かされるはずだ。ハードスポンジならではの力強さがありながら、硬くて打ちづらいという印象は全く受けないだろう。
スポンジがボールをつかみ過ぎると、球離れが遅くなって威力は減退する。かと言って、スポンジが問答無用にボールを跳ね返してしまうと、プレーヤーは安心してボールに回転をかけられずコントロールに苦しむことになる。
H52.5のスポンジが目指したのは、「つかみ過ぎず、跳ね返し過ぎず」という絶妙なさじ加減。高密度ながら内部に無数の超微細気泡を忍ばせた革新的なアーキテクチャが、その限りなく狭い範囲の正解を実現させたのだ。
スポンジ表面拡大写真
職人の手作業によるハイクオリティ
これはH52.5に限った話ではないが、ジキル&ハイドシリーズは製造工程にも思い切りこだわっている。すなわち工場の量産ラインには乗せず、専用の熟達した職人が手作業で製品管理を行っているのだ。
そのため、完成したラバーの上質さと性能均一性には絶対の自信がある。製品にばらつきがあると、ラバーを新品に交換するたび、プレーヤーは感覚の調整を余儀なくされるが、ジキル&ハイドシリーズでは、その心配は無用だ。
繊細なタッチが要求されるサービスや台上技術でも、正確性が要求されるカウンターでも、飛距離の安定が要求される中後陣からのドライブでも、常に狂いのないパフォーマンスを発揮してくれる。
戦型や合わせるラケットで個性が開花
H52.5を相棒とするなら、まずはフォアハンドでの使用を推奨したい。自在性とキレのある変化サービス、確実に止まるストップをベースとした台上テク、絶対的な決定力のパワードライブ、間違いのないつなぎを保証するループドライブ、電撃的かつ正確無比なカウンタードライブ……すべてを意のままに操ることができる。
また、合わせるラケットによって、H52.5は様々な顔を見せてくれる。アウター素材のラケットに貼れば、最高レベルのハイスピード・ハイスピンを備えた強力なパワードライブを放つことが可能。光のようなドライブ速攻を身上とするプレーヤーにおすすめだ。
インナー素材のラケットでは、ボールをつかむ感覚とドライブの伸びが病みつきになる。打球点が高くても低くても、卓球台との距離が遠くても近くても、常に一定以上の威力を持ったドライブを安定的に連発できるから、ラリー戦に絶対の自信が持てる。
木材合板と合わせれば、回転力最強のアイテムが完成する。ボールをディープに包み込むような打球感と、超高回転で安定するドライブは感動ものだ。カットの切れとアタックの決定力を重視する攻撃多様型のチョッパーにもおすすめできる。
バックハンドでは、ブロックの抑止力とドライブの伸びをケースバイケースでうまく活用できるテクニシャンタイプにとって、最高のパートナーとなり得る。ツッツキやチキータの回転量が抜群だから、台上を支配したいプレーヤーにもベストマッチだ。
新しい可能性と喜びが感じられるラバー
目の覚めるような刺激と未知の感動、そして栄光の勝利を得たいと思っているあなたなら、このジキル&ハイドH52.5を試さない手はない。すべてのプレーヤーに卓球の新しい可能性を見せてくれるアイテムが、ここに誕生したのだ。
ステレオタイプで単調な卓球に飽き飽きしている人にこそ、このラバーを手に取ってみてほしい。きっと、自分自身でまだ気づいていないポテンシャルに火がつき、プレーする喜びが倍増するはずだ。